Trans* Issues

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トランスの権利を男性の暴力を理由として否定しないで

2017/10/24 The Guardian

Ruth Hunt

www.theguardian.com

全訳

長年にわたり無視されると同時にセンセーショナルに扱われてきたトランスの人々とその問題に関する議論が、俎上に載せられるようになっている。だがその議論は残念なことに、トランスと女性の権利を支持する人々——共通の原因を持つはずの二つのグループだ――の間の、誰が平等へとアクセスすべきであり、誰がそうすべきでないのかをめぐるひどい戦いへと変わってしまった。

2004年、Gender Recognition Actはトランスジェンダーの人々が存在し、それらの人々の性別が法において承認されるべきことを確認した。それは自分には精神疾患があるとトランスの人々が証明することに依存した、ぎこちないプロセスである。私たちはかつて1992年、同性愛を精神疾患とラベリングすることをやめたのだ。間違いなく、それはトランスジェンダーの人々にとって長く待ち望まれていることではないだろうか?首相(テレサ・メイ)が先週、ピンク・ニュース・アワードで再確認したように。「トランスであることは病気ではなく、病気として扱われるべきではありません。」

トランスの人々や、男性でも女性でもない人々は、虐待や差別を受けることなく自分自身であると承認されるべきであり、長期間の屈辱的なプロセスを経験させられるべきではない。注目すべきことに、私たち(イギリス)よりもっと保守的な社会――アルゼンチン、アイルランドやマルタ-がみな、それを実現したのだ。なぜ私たちにできないのか?

一部の人は、もし人々が自分の性別を、官僚的な手続きや書類なしに自分で宣言することができるようになれば、男性は女性専用のスペースにアクセスして女性を攻撃するために「私は女性です」と単純に言うようになると思っている。私たちはみな男性の暴力について考えるべきであり、私たちはみなそれを防ぐこと、それが起こった時に応答することについて考えるべきである。

しかし、トランスの人々に平等を賦与することは女性をより安全でなくしないだろう。私たちは不幸なことに、女性の安全が保障されていない社会に生きている。だが、トランスの人々はこのことで責められるべきではないし、しばしば自分自身を危険にさらしているのだ。トランスの人々をスケープゴートや、現実問題からの目くらましにすることはできない。トランスの人々に権利を賦与することは暴力的な男性に暴力的にふるまう許可を与えない。現実には、もしある男性が女性専用のスペースにアクセスするために女性の服装をしようと思えば、いずれにせよそうするのである。どんな紙切れもそれを防ぐことはできないだろう。

ドメスティック・バイオレンスの機関や刑務所は幅広いバックグラウンドをもった人々を注意深く扱う非常に多くの経験を有している。ドメスティック・バイオレンスやレイプ・クライシス・センターは男性の暴力による被害者の支援に一次的に関わっており、自分たちの玄関にやってきた人なら、トランス男性や女性を含め、誰であれ常に適切なサービスを提供する。このことは、そうしたセンターが長年にわたり、トランスの人々に身分証を見せるよう要求することなく、行ってきたことだ。彼らは複雑なニーズのバランスを、繊細さとプロフェッショナリズムを持ちながら、いかにとるかを知っている――トランス(とLGB)の人々が、バーミンガムの女性支援センターに隣接したLGBT専門のサービスのような、自分たちに特化したより直接的なサービスを必要としていることは、確かだとしても。

刑務所もまたこれらの問題を長年にわたり扱ってきた。司法省がその指針で述べているように、「トランスジェンダーの犯罪者が自らの自認するジェンダーで刑事司法制度を経験することを認めることは、大部分のケースにおいて、最も人道的で安全な処置を示すものとなるだろう。我々は、これは更生の成功をも後押しするものであろうと考える。」

犯罪者が収監中に性別移行をする意思を示した場合には、その人は中心的な専門的支援を得て、包括的なリスク監査を受けることになる。どこに置かれているかに関わらず、その人は自らのジェンダーで生きることができることになるが、それは自動的にもう一方の刑務所に移送されることを必ずしも意味しない。暴力的な男性は、自分が女性だと宣言して自動的に女性刑務所に移送されることはできない。そのようなことは今、起こらない。この制度は、男性刑務所から女性刑務所への大規模な移送を促進していないし、することもないだろう――違うことを言っている大見出しのことは置いておくとして。

男性刑務所でのトランス女性の悲劇的な死は、トランスの収監者の安全を守るためにもっとできることがあることを示している。だが、これらの問題は身分証の性別記載に関する行政を変更することによって解決したり悪化したりはしないだろう。しかしながら、意識を高めることは、よりよい対話、よりよりケア、よりよい更生と、不必要な死の減少をもたらすかもしれない。

トランスの人々は安全に対して女性と同じリスクに直面している。研究によれば、44%のトランスの人々が特定の道を通ることを、安全だと感じないために避けているし、昨年だけでも、5人に2人のトランスの人々が性自認を理由としたヘイトクライムを経験している。このことが、これを読む女性にとってなじみのあることに聞こえるなら、それはあなたが共通の原因を持っているからだ。

女性とトランスの人々はともに、ジェンダーを理由として真の平等にアクセスすることから妨げられている世界に存在している。私たちは、平等を切実に必要とし、平等に値するのであって、平等を切り崩す主張によって分断されてはならないのだ。