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テキサス州「トイレ法案」、共和党が紛糾する中また挫折【まとめ】

2017/8/16 The Guardian

www.theguardian.com

記事のざっくりしたまとめ

  • テキサス州トランスジェンダーの更衣室やトイレの使用を制限する「トイレ法案」を可決することに失敗した。この法案は、公立の学校や州政府の建物において、トランスジェンダーが出生証明書ないし州が発行する他の証明書に記載された性別に合致する設備を使用することを強制するもの。
  • 一部の議員は、2016年に同様の法案を可決したノースカロライナ州で起きたバックラッシュを恐れた。ノースカロライナは経済的なボイコットに苦しめられ、12月には共和党州知事民主党の知事に取って代わられ、法律の廃止に追い込まれていた。
  • リベラルな教会は保守的なキリスト教徒を相手に戦った。また石油企業や、グーグル、アップル、IBMマイクロソフトや、NFLといったスポーツ団体を含むビジネス界でも反対が広がった。アメリカン航空、サウスウェスト航空やAT&Tなどのダラスを拠点とする企業のCEOらは連名で、この法案が新しいビジネス、投資、職業や最も優れた才能を惹きつけるテキサスの力を損なうとして、テキサス州知事グレッグ・アボットに対し反対の書簡を送った。
  • 支持者らは、この法案は女性と子供を性犯罪者から保護し、プライバシーと尊厳を守るために必要だと主張。この主張には、テキサス州の多くの大都市の警察署長や公民権擁護団体が反対している。
  • トランプ政権の誕生によりホワイトハウスが大きく方針転換をする中、2017年には16の州でトイレ法案が検討された。しかし、今までに法律を成立させたのはノースカロライナ州だけである。ノースカロライナの経済と評判が被った損害に加えて、最も人口の多いレッド・ステート(共和党が支配する州)であるテキサスでの失敗は、他の州がこれに追随することを抑止しそうだ。

まとめ人コメント

保守派とリベラル派の分断が著しいアメリカですが、不幸なことに、トランスジェンダーのトイレ問題が両者間の文化戦争のターゲットとなってしまっています。

背景として、この件に関する大きな動きが二つあります。まず、オバマ政権が2016年5月、公立学校に対し、トランスジェンダーが自認する性別のトイレや更衣室を利用することを認めさせる通達を出したのですが、2017年2月にトランプ政権が撤回したこと。そして、ノースカロライナ州における2016年3月の「トイレ法案」(House Bill 2)の成立と2017年3月の撤回です。

トランス女性に女子トイレを使わせないことが「男性の性犯罪者から女性や子供を保護する」ために必要なのだ、という主張は非常に憂慮すべきものです。これは、トランス女性とシスジェンダー女性の間に偽りの利害対立を作り出します。しかし、おそらくだからこそ、このような主張を一蹴して済ませることは好ましくない、という気がしています。トランス女性だけでなくシス女性やトランス男性をも射程に入れた、トイレとジェンダーセクシュアリティに関する包括的な議論を構築することがたぶん必要です(が、きちんと議論するのはかなり大変そうです)。

リソース

アメリカ各州での「トイレ法案」に関する動向

http://www.ncsl.org/research/education/-bathroom-bill-legislative-tracking635951130.aspx